札幌地方検察庁の検事が痴漢容疑で逮捕されました。まだ、逮捕段階で彼が本当に痴漢を働いたのかはわかりません。痴漢などの性犯罪は、えん罪の可能性も高いのです。というのも、痴漢などの性犯罪は、目撃者がいないことが珍しくないため、有罪を認定するための証拠が被害女性の供述だけであることも多く、被害女性が思い違いをしていたり、嘘を言っている場合に、裁判所が被害女性の供述を信用してしまうとえん罪の判決が言い渡されてしまうのです。
今回、私が言いたいのは、痴漢やのぞきなどの犯罪行為は、職業や社会的地位、年齢を問わず、誰もが犯してしまいかねない犯罪であり、私自身も今回の検事の犯行を他人事とは思えないということです。
エロパワー(女性に対する欲求)は、男性であれば誰もが持っているものであり、エロパワーを抑制する理性の壁は驚くほどもろくて薄いものだということを今回の件で痛感しています。
女性のことはわかりませんが、男性が女性の体がもつ曲線やふくらみに強い欲求をもつことはあきらかです。そうでなければ、男性読者を想定する雑誌にあれほどのグラビアページがある訳がないですし、写真集(女性の体がもつ曲線やふくらみを鑑賞することだけを目的とする書籍)が何千円もの値段で大量に売れることも理解できません。
私見ですが、およそメディアの発達には、エロパワーが大きな貢献をしてきたと思います。古くは、源氏物語や百人一首の歌の多くが、ある種のポルノと理解することが可能と思いますし、江戸時代の浮世絵だっていわゆる春画が庶民の購買意欲をそそるものであったことはあきらかと思います。
昭和以後も、8ミリフィルム、ポラロイドカメラ、ビデオデッキ、デジタルカメラ、インターネットやスマホの普及にもエロパワー(エッチな画像を見たいとの心情)が大きく貢献していると思います。
また、彼女とデートしている最中に、スタイルの良い女性に思わず目が行ってしまい、気まずい思いをした経験のある男性は多いのではないでしょうか。
このように、エロパワーは男性であれば食欲と同様に誰もが持っている本能的な欲望なのです。日頃は理性の力で押さえていますが、お酒が入ったりすると、理性のタガがはずれて痴漢やのぞきなどの犯罪行為に至ってしまう可能性は多くの男性にもあるのではないでしょうか?
私はお酒は好きなのですが、酒に弱く、酔うとすぐに寝てしまうので、幸いにして痴漢やのぞきに至ったことはないですが、今回の検事の例を思うと到底他人事とは思えません。
痴漢やのぞきの事件の刑事弁護も何件かしたことがありますが、犯人の多くはごく普通の市民であり、ご自身も「何でこんなことになったのか全くわからない。」という人もいらっしゃいました。エロパワーを制する理性の壁が崩れて、痴漢やのぞきなどの犯罪に至ってしまうことは誰にだってあり得るのです。
痴漢の多くは迷惑行為防止条例違反となり、初犯であれば多くの場合罰金で済むと思われますが、被害に遭った女性からすれば、見知らぬ男からいきなり胸やお尻をさわられ、恐怖や羞恥を感じるでしょう。ですから、ついうっかりでは済まない問題なのです。日頃からエロパワーを制する理性の壁がもろくて薄いものであることを十分に自覚しておく必要があります。
また、今回の検事もそうですが、公務員や有名人など社会的地位のある方は、痴漢とはいえ、実名で大きく報道されてしまい、一瞬にしていままでの立場を失うこととなりかねませんので十分に注意する必要があります。
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