法律相談について

　もうすぐ新年度です。気持ちも新たに業務に励みたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

 

　法律相談は、弁護士業務の基本です。私たち弁護士は、自分の事務所だけでなく、いろいろな場所で法律相談を行っています。私自身も事務所ではもちろんのこと、弁護士会の法律相談センターや札幌市を始め道内各都市の市役所などで、法律相談を行ってきました。

 

　最近、ある区役所で法律相談を行ったときの話です。市役所、区役所の相談は無料ですが、多くの方に利用していただくために時間が２０分～３０分に制限されています。ご相談者の相談内容は結構複雑なものでした。ご相談者は、事件の経緯について何枚もの紙に書いて持ってこられました。全部を読むだけで、相談時間の半分以上もかかりそうです。それに、このところ老眼が進んできたので、細かい字を読むのは結構つらいのです。やむを得ず、文書を飛ばし読みした上で、ご相談者からかいつまんで事情を伺い、とりあえず一般的な問題に対する回答をさせていただきました。その上で、もう少し具体的な事情を聞いて、突っ込んだ回答をしようと思ったところで、役所の担当者から「もうお時間です。」と声がかかり、相談は強制終了されてしまいました。

　

　法律相談が中途半端に終わってしまい、私自身ももう少し時間があればと思いましたし、ご相談者も釈然としない思いだったのではないでしょうか。

 

　また、市民の方の中には、弁護士の法律相談で税金の細かい知識や、このような事情のときに具体的にいくら税金がかかるのかご質問なさる方もいらっしゃいますが、私には全くお手上げです。税金に詳しい弁護士も中にはいるでしょうが、税金の相談は税法の基本を押さえるだけでは不十分で様々な特例が適用される条件を知らないと正確な回答が不可能です。そのようなご相談の場合、私は「税金のことには詳しくありませんので、あらためて税理士さんにご相談下さい。」と回答せざるを得ません。

 

　税金問題以外でも行政訴訟など私が取り扱っていない分野の相談をされた場合、適切なご回答は不可能です。無料とはいえ、役所まで費用と時間をかけていらしたご相談者には申し訳ないと思います。

 

　同じ法律問題を、複数の弁護士に相談されるご相談者もいらっしゃいます。いわゆるセカンドオピニオンを求めるような場合です。ご相談者のお話を聞いていると、どうも以前に相談を受けた弁護士が誤った解答をしているのではないかと思われる場合があります。

　

　この１０年で札幌弁護士会の弁護士の数はおよそ２倍になりました。ということは弁護士経験１０年未満の弁護士が札幌弁護士会の約半数を占めるということになります。もちろん、弁護士の能力は必ずしも経験に比例するわけではありませんが、私から見てもいかにも頼りなさそうな弁護士がいることも事実です。

 

　このように、札幌市等の地方公共団体が行っている法律相談は無料ではありますが、時間が限られていたり、ご相談者が回答を求めたい法律問題を得意とする弁護士を選ぶことができないなどの欠点があります。

 

　札幌弁護士会は法律相談の全面無料化を始めましたが、地方公共団体ほど厳しくないとはいえ時間制限がありますし、女性弁護士だけが対応している相談などはありますが、弁護士を選べないことは地方公共団体とほぼ同様です。

 

　他方で、多くの弁護士は法律相談を原則として有料としており、完全無料化している弁護士はまだまだ少ないと思います。というのは、完全無料化してしまうと、相談時間や相談回数に際限がなくなってしまうと思われるからです。地方公共団体や弁護士会の法律相談では時間がくると職員が相談を終了させてくれますが、自分の事務所ではなかなか強制終了は困難です。

 

　私の経験でも、ずいぶん以前に、親しくおつきあいしていた依頼者のご紹介だったため、無料でご相談に応じたことがありました。相談内容は離婚がらみの相談であり、ご相談者からお話を伺う限り、慰謝料の支払いはどう考えても避けられないといった事案でした。私もご相談者にそのように説明したのですが、ご相談者は納得されず、その後も何度かご相談に来られました。その都度、同じようなお話を伺い、同じ回答をするといったことが数回続きました。最後の時に、私はご相談者に「今回は有料にさせてもらいますが、よろしいですか？」と断って、ご相談を受けました。以後、ご相談者が私のところにご相談に訪れることはありませんでした。

 

　そんなわけで、当事務所も法律相談の完全無料化は実施できませんが、４月から初回法律相談は３０分まで無料とさせていただきます。

 

　このブログをお読みの方は、私の人となりや業務内容についてはある程度ご存じでしょうから、お試しのつもりでお気軽にご相談下さい。法律問題として処理するのが適当でなかったり、私自身で対応しかねる案件の場合は、３０分以内でご相談を終了し、ご相談料は頂戴しません。また、ご相談に来られて、私に事件を依頼する気にはちょっとなれないとお考えの場合は、３０分以内であれば交通費は別にしてご負担はかかりません。