遺産分割など相続関係の事件を受任した場合、まず弁護士が行うのが相続人の確定作業です。戸籍謄本などを調査して、相続人を確定するわけですが、結構、時間と手間のかかる作業です。
法律上、相続権があるのは配偶者、子、直系尊属(父母、祖父母など)、兄弟姉妹となります。
まず、配偶者については、内縁関係の場合相続権がないですし、離婚して元夫、元妻になると相続権がありませんので通常現在の被相続人(亡くなった方)の戸籍を調べるだけで確定できます。
子については、俗な言い方をすると隠し子がいるかどうかを戸籍上確定させる必要があるので、現在の戸籍を調査するだけでは足りず、過去に遡って戸籍を調査する必要がでてきます。いつまで遡るかというと、家庭裁判所の取り扱いでは、被相続人が生まれたときまで遡る必要があります。子が被相続人より先に亡くなっている場合、その子に直系の子孫がいる場合は、その子孫が代襲相続といって相続人になります。子またはその代襲者がいると直系尊属には相続権がないので、ここで相続人調査は終了です。
子またはその代襲者がいないかもしくは相続放棄した場合、直系尊属の有無を調査します。直系尊属については父母が既に亡くなっている場合でも祖父母が生存していれば相続権がありますし、祖父母が亡くなっていても、曾祖父母が生存していれば相続権があります。
今では100歳以上の方も珍しくなくなりましたので、場合によっては、100年ぐらいは遡って戸籍を調べる必要が出てきます。
直系尊属もいないかもしくは相続放棄した場合、兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹についても隠れ兄弟姉妹がいるかどうか戸籍上確定する必要があるので、結局、被相続人の父母が生まれたときに遡って被相続人の父母の子(被相続人にとっては兄弟姉妹になります。)の有無を調査する必要が出てきます。兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合、兄弟姉妹に子(被相続人の甥姪)がいると1代に限り代襲相続します。
このように、相続人の調査を行うと場合によっては100年くらい前まで戸籍をたどっていく必要が出てきます。最近では、なかなかお目にかかりませんが、「安政」とか「慶応」とかの生まれのご先祖が記載されていることもあります。また、戸籍がその人ごとに一冊の本などにまとめられていると良いのですが、現在の戸籍は原則として夫婦と未婚の子供単位でまとめられている上に、本籍地の市区町村役場で取り寄せることになりますので、通常何通もの戸籍をあちこちの役所から取り寄せる必要が出てきます(北海道の人は東北地方や新潟に先祖がいる方が多く、その場合、東北方面の役所に手紙を出して戸籍を取り寄せます)。
また、太平洋戦争までの戸籍は、今の戸籍と全く型式が異なっており、おまけに手書きなのでまるで「古文書」のようですし、既に市町村合併などで存在しなくなった町や村が本籍地となっていることもあります。
さらには、遺産分割調停事件の途中で相続人のお1人が亡くなったりすると、その方について相続が発生するため、再度調査が必要となったりして、プロである我々でも泣きそうになります。
自分に関係する戸籍の調査は、一般の方でも不可能ではありませんが、今まで述べたような手間や時間もかかるので、お仕事の片手間にやるのは難しいと思います。お気軽に弁護士などの専門家にご相談ください。
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勃起不全 (火曜日, 28 4月 2015 16:57)
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