日本では、結婚すると戸籍上は夫または妻の氏(名字)を名乗らねばならず、戸籍上の夫婦が別々の名字を名乗ることはできません(民法750条)。従って、結婚する場合、夫または妻が元の名字を変更することになります。法律上は夫の方が名字を変更しても全くかまわないのですが、多くの場合、妻の方が名字を変更しています。家事調停官をつとめていたときの感覚ですが、夫が名字を変更しているケースは数パーセントではないでしょうか。
夫婦別姓とは戸籍上も婚姻関係にある夫婦が別々の名字を名乗ることを認める制度です。女性の社会進出が進み、仕事の上などで名字を変更すると不便な場合があるため、夫婦別姓の議論がなされてきました。議論自体はそれこそ男女雇用機会均等法が成立した20年以上前からなされていたと思います。しかし、いまだに夫婦別姓は実現されていません。最近、最高裁判所が非嫡出子(婚姻関係に無い男女間の間で生まれた子)の法定相続分を嫡出子の相続分の1/2と定めた民法の規定が憲法に違反すると判断しましたが、一部の国会議員達はこれに大反対していました(最高裁が決めた以上大反対してもしょうがないのですが…)。このような国会議員が幅をきかせている今の国会では、当分の間夫婦別姓が実現することはないといって良いでしょう。なお、ここで言う夫婦別姓とは選択的夫婦別姓のことで、夫婦別姓を結婚した全国民に強制するのではなく、あくまで結婚する夫婦が希望した場合に限って別姓の選択を認める制度です。私自身は選択的夫婦別姓については賛成です。
法律上(戸籍上)の夫婦別姓が認められていないため、別姓となるには、①戸籍上はどちらかの名字を名乗り、戸籍上の名字を変更した夫または妻が社会生活上通称として従来用いていた名字を引き続き使用する方法と②戸籍上は別の名字のままで、事実婚(内縁)で生活する方法とがあります。
通称使用の場合、役所などの手続などで不便が生じるようです。他方、事実婚では相続権(遺言しておけば別ですが)が発生しないという欠点がありますし、お子さんが生まれた場合にどうするかも難しいと思います。私は当事者ではないので詳しくないですが、これ以外にもいろいろと不便なことがあると思われます。その意味で、夫婦別姓を選択的に認める必要性は高いと考えます。
弁護士の業界では、結婚してもそれ以前の名字のままで活躍されている弁護士が多数います。おそらく芸能界に次いで別姓率が高い業界ではないでしょうか。私は夫婦別姓には賛成ですが、別姓のままで活躍する夫婦弁護士が増えてくると一つだけ困ったことがあります。それは、どの弁護士とどの弁護士がご夫婦なのかが非常にわかりにくいことです。
札幌弁護士会には約700名の弁護士が所属しておりますが、これだけ弁護士が増えてくると、弁護士会の会議や集まりなどでA弁護士の悪口や噂をしているのをA弁護士の夫または妻であるB弁護士(名字は別)が隣で聞いていたといった非常に気まずい事態がおこりかねません。
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勃起不全 (火曜日, 28 4月 2015 16:57)
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